個人的に集められる資料を基に、断熱材についてまとめてみました。
一口に断熱材といっても様々な種類があり、断熱材に何を選ぶかは、断熱性能だけでなく
それぞれの特徴を踏まえた上で比較検討する必要があります。
断熱材は「熱」を「断つ」材料と書きますが、
実際にはそれほど高い性能はありません。
時間が経てば室外の熱が室内に伝わっていきます。
なので、暑い時期や寒い時期は冷暖房が必要になります。
暑い時期寒い時期に対応した十分な断熱材の厚さが必要です。
断熱材必要な性能基準としてはHEAT20のG2水準を確保するのをお勧めします。
推奨グレード | 地域区分 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
HEAT20 G1 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 |
HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
熱容量の高い断熱材は温度変化が穏やかで室内の影響が小さいです。
断熱材の十分な厚さに遮熱シートによる外気の影響を抑える工夫も大事です。
断熱性能の高い家に住み替えるとアトピー性皮膚炎・気管支喘息
・かぶれ・冷え性が改善すると調査で分かっています。
断熱性能を高めるのは省エネだけでなく住む人にとっても大事なことです。
断熱材を選ぶには性能の高い断熱材を選ぶことが、
日々の光熱費を抑える家計に優しい家づくりになります。
性能が高い断熱材は工事費が掛かるのでコスト管理も大事。
予算があればセルロースファイバー吹込みをお薦めします。
工事費に合わせて羊毛断熱を提案することもあります。
どうしても工事を抑える場合はグラスウールとポリエステル繊維断熱材を必要な場所に使い分けています。
断熱性能の数字だけ見るとウレタンフォームなどのほうが
セルローズファイバーよりいい成績です。
しかし、セルローズファイバーには高い熱容量があるので
断熱性能の数字以上に保温して住まいを快適にする機能があります。
これは羊毛とセルローズファイバーや木質系断熱材がもつ機能です。
数字以上に快適で温度変化が穏やか熱を蓄える能力があるのは重要です。
これがセルローズファイバーを薦める大事な理由です。
写真はセルローズファイバーを充填する作業です。
断熱材は隙間なく綺麗に工事しないと断熱性能を発揮しません。
多くの工事会社は断熱工事に不安があります。
断熱工事は大工ではなく専門の業者が工事するのが最善です。
専門業者でセルロースファイバー吹込みが性能に安心があります。
大工さんが工事する場合は工事ミスが置きにくい断熱材を使いましょう。
グラスウールなら密度の高いものを提案しています。
ポリエステル繊維断熱材も施工ミスが起きにくいので提案します。
火災の危険はテレビなどでご存知のこと思います。燃えない断熱材で安全にしたいです。
ウレタンフォームなど燃えにくい処理をしていても炎で長時間あぶれば燃えます。
火災時に燃えている室内は1000度近くまで温度が上昇します。
火災は燃えて初期消火失敗すると燃え尽きるまで燃え続けます。
家は家具や衣類など可燃物が沢山あるので20~30分燃え続けるものです。
火災危険性を考えるとウレタンフォームなどは使いたくないです。
予算がないときポリエステル繊維断熱材を使いますが
やはり火災危険性は気になりつつ採用しています。
断熱材を石膏ボードで耐火被覆をして火災対策を行います。
燃えないグラスウールは別の理由で使いたくないですが燃えない長所はあります。
セルローズファイバーはホウ酸処理で火災時は添加されているホウ酸の水蒸気反応で
着火がしにくくまず燃えません。また燃えても表面が焦げて炭化して中身は燃え残ります。
一軒全焼しても屋根も壁も燃え抜けないで煙の痕跡なければ燃えたと思えない状態に
なります。火災でも逃げられるので安心してセルローズファイバーをお勧めします。
壁内結露は室内の水蒸気が壁の中に移動して外気と室内温度差から壁の中で
水になってしまい結露してカビや材木腐りの原因となります。
グラスウールとロックウールはボード加工で使う接着剤が吸湿性高く壁内結露
での要因になっています。防ぐには気密シートの確実な工事が重要です。
ウレタンフォームは施工不良があるとそこで結露置きますが最近の施工方法なら
まず問題は起きないと思います。壁内結露では長所があります。
私が提案するセルローズファイバーは素材自体が水蒸気の透湿・放湿性能が非常
に高く熱容量から外気との温度変化も穏やかなため壁内結露がまずおきません。
セルローズファイバーが壁内結露するほどの水蒸気だと室内がサウナのような
状態になってしまうでしょう。普通の生活では考えられません。
18年ほど前にセルローズファイバーでやった建物は気密シートも透湿シート
で工事していていまだに何も問題起きていません。
今はでセルローズファイバーに湿度を動かすと冬の過乾燥対策が大変なので
室内の湿度保護の為、気密シートは防湿シートで工事します。
羊毛や木質系断熱材もセルローズファイバーと同様に壁内結露には対策できる良い断熱材です。
快適な高断熱高気密を検討されている方は是非お問い合わせください。
HEAT20のG2水準で快適な住まいを提案しています。
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フラックス繊維マット(木質繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.037W/mK
亜麻繊維(麻の一種)の繊維を接着剤・防蟻材・難燃剤を加えてボード状に加工成型したもの。
ボード状の形状なので耐力面材の在来工法、2X4工法、外断熱に適合する断熱材。
断熱材を加工しても繊維が細かく飛散しない。
保湿性があり湿気を吸っても断熱性能は落ちにくい。
壁内結露を抑える保湿性がある。
接着剤には澱粉質の自然素材を使っており、この澱粉質特性で難燃性能がある。
建物解体時には焼却または土中埋め立てで 処理できる。
軽量軟質木質繊維ボード(木質繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.045W/mK
チップ材・材木製材時の廃材・間伐材などを細かく繊維状に砕いたものに、
接着剤・防蟻材・難燃剤を加えてボード状に加工成型したもの。
ボード状の形状なので耐力面材の在来工法、2X4工法、外断熱に適合する断熱材。
断熱材を加工しても繊維が細かく飛散しない(木屑のようなものが散る)。
保湿性 があり湿気を吸っても断熱性能は落ちにくい。
接着剤には澱粉質の自然素材を使っており、この澱粉質特性で難燃性能がある。
建物解体時には焼却または土中埋め立てで処理できる。
セルロースウール(木質繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.030W/mK
木材、主に北欧パイン材の繊維質(セルロース)を原料とした断熱材。
セルロース繊維をマット状に成型 加工したもの。
軽くマット状なので工法を選ばず施工しやすい。
保湿性があり湿気を吸っても断熱性能は落ちにくい。
壁内結露を抑える保湿性がある。
防虫防カビ処理を施している。
建物解体時には焼却または土中埋め立てで処理できる。
セルローズファイバー(木質繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.045W/mK
パルプチップ・新聞古紙など木質繊維を原料に難燃剤・防蟻材・防カビ材としてホウ酸等を混入して綿状にしたもの。
専用の機械を使い壁天井内に材料を吹き込むか吹き付ける。
北海道などの寒冷地方では1990年代か ら施工実績がある。
綿状の物を吹き込み・吹き付けで施工するため工法を問わず施工がし易い。
保湿性があり湿気を吸っても断熱性能が落ちにくい。
熱容量が高く保温性能がある。
材料が新聞古紙の場合インクに含まれる有機化合物が空気中に放出される危惧がある。
吹き付け・吹き込み工法と も施工後に断熱材の自重で沈降して隙間が出来る危惧があるが、
断熱材の沈降に対策している製品もある。
建物解体時には焼却または土中埋め立てで処理できる。
羊毛断熱材(動物繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.045W/mK
羊毛を原料とした断熱材。ロール状またはマット状に成型加工したもの。
軽く施工性が良く工法を選ばず採用できる。
保湿性 があり湿気を吸っても断熱性能は落ちにくい。
壁内結露を抑える保湿性がある。
ホウ酸による防虫防カビ処理を施している。
耐熱性が高く着火温度が高温。
熱容量が高く保温性能がある。
建物解体時には焼却または土中埋め立てで処理できる。
ポリエステル繊維断熱材(樹脂繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.035W/mK
ポリエステル樹脂を繊維状に加工し、それをボード状の断熱材に成型加工したもの。
軽くボードをカッターで切断できるため 加工しやすい。
ボード状の形状なので耐力面材の在来工法、
2X4工法、外断熱に適合する断熱材。
繊維ボードに弾力性があり木造の充填工法で断熱材に隙間ができにくい。
断熱材を加工しても繊維が細かく飛散しない。
湿気を吸っても通気性放湿性が高く断熱材内に湿気が残りにくい(断熱性能が落ちない) 。
火災時に燃焼するとCO・CO2を放出する恐れがある。
原料石油由来のため引火点340度・発火点350度程度なので防火被覆必要。
防火被覆は石膏ボードにて木造準耐火と同程度の厚さを断熱部に施す。
建物解体時に分別出来れば断熱材を再利用できる。
硬質ウレタンフォーム(発泡樹脂系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.023~0.026W/mK
ポリイソシアネート・ポリオールに発泡材・難燃剤を加え板状に加工成型したもの。
もしくは建築現場にて建物に直接断熱材 を吹き付け作業する。
防水性能がある。
成型した製品はボード状に加工されており、軽量で運びやすい。
水蒸気吸わないので断熱性能が落ちにくい。
吹き付け作業で施工すると均一な断熱層が得られる(施工不良がおきにくい)。
断熱材に放湿性能はない。
合成樹脂・発泡材・難燃材などが空気中へ拡散する懸念がある。
燃焼時に青酸ガスを発生する危険がある
(青酸ガスが出ないように対策した製品もある)。
原料石油由来のため引火点310度・発火点415度程度なので防火被覆必要。
防火被覆は石膏ボードにて木造準耐火と同程度の厚さを断熱部に施す。
不燃剤を添加し不燃材認定を取得した吹付ウレタンフォーム製品がある。
建物解体時には産業廃棄物として処理する必要がある。
ビーズ法フォームポリスチレン(発泡樹脂系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.034~0.043W/mK
ポリスチレン樹脂(液体)に発泡剤・難燃剤を加えてビーズ状にしたポリスチレン樹脂を蒸気過熱し発泡成型加工したもの。
発泡時にフロンを使っているものや、防蟻材としてホウ酸を混入してるものがある。
防水性能がある。ボード状に加工されており、軽量で運びやすい。
水蒸気吸 わないので断熱性能が落ちにくい。
廃材などは蒸気加熱することでリサイクルできる。
木造軸組工法の場合施工個所に合わせて細かい加工が必要となり、
施工性 を考えると外断熱工法や2X4工法向きの断熱材料。
断熱材に透湿放湿性能はない。
ポリスチレン樹脂・発泡材・難燃材などが空気中へ拡散する懸念がある。
火災時に燃焼するとスチロールガスが放出される。
原料石油由来のため引火点370度・発火点495度程度なので防火被覆必要。
防火被覆は石膏ボードにて木造準耐火と同程度の厚さを断熱部に施す。
添加物にて不燃処理をして不燃材認定を取得した製品がある。
建物解体時には産業廃棄物として処理する必要がある。
押し出し発泡ポリスチレン(発泡樹脂系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.028~0.046W/mK
ポリスチレン樹脂(液体)と発泡剤を製造機に入れ加圧し
型の中を押し出しながら発泡させて製品を作る。
防水性能がある。
ボード状に加工されており、軽量で運びやすい。
水蒸気吸わないので断熱性能は落ちにくい。
木造軸組工法の場合施工個所に合わせて細かい加工が必要となり、
施工性を考えると外断熱工法や2X4工法向きの断熱材料。
断熱材に放湿性能はない。
ポリスチレン樹脂・発泡材・難燃材などが空気中へ拡散する懸念があ る。
火災時に燃焼するとスチロールガスが放出される。
添加物にて不燃処理を行い不燃材認定を取得した製品がある。
建物解体時には産業廃棄物として処理する必要がある。
グラスウール・ロックウール(鉱物繊維系断熱材)
断熱性能(熱伝導係数:数値が小さいものほど性能が良い) 0.035~0.04W/mK
一番流通し使用されている断熱材。
建築現場で使用されるのは比較的安価な製品が流通しているものが多い。
ガラス繊維・鉱物繊維が綿状・ボード状に加工されているため
断熱材自体が軽く工事で持ち運び取り付けがたやすい。
密度の低い材料は潰れやすく不良施工になりやすい。
低価格の製品は非常に安い(m2単価で500円程度)
価格相応に断熱性能が低い。
作業中にガラス繊維・鉱物繊維が細かく空気中に飛散し、
それを吸う事で発ガン性の懸念がある。
放湿性がなく湿気を含むと急激に断熱性能が落ちる。
断熱材を湿気から守る防湿工事は必須。
丁寧な防湿気密シートによる作業が必要。
防湿層が不完全だとカタログ上の断熱性能は発揮できない 。
(製品の製造方法によるが3割から5割程落ちる)
断熱材の密度によっては作業で潰れてしまい隙間が空いて断熱性能が落ちることがある。
綿状・ボード状に加工する際ホルムアルデヒドを含む接着剤を使っているものがある
(建築基準法の規定で表示あり、シックハウス基準は守られている)
グラスウールの主原料は廃ガラス。
ロックウールは製鉄時に出る鉄鋼スラグを主原料としている。
建物解体時には産業廃棄物として処理する必要がある。
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