伝統構法の設計

伝統構法の設計について

【確認申請】

伝統構法の確認申請は壁量計算により設計する方法
(許容応力度設計法を簡略化したもの)と
限界耐力計算法を用いて設計する方法とあります。

伝統的構法の設計法が新しい設計法として法整備検討中です。


【壁量計算】

(許容応力度設計法を簡略化したもの)

告示に基づく耐力壁の壁量を元に設計します。
耐力壁の変形による引抜きの検討をします。

建物はアンカーボルトにて基礎と緊結します。
(柱勝ちの納まりにて石場建てに近い作りは可能です)

耐力壁は土壁・通し貫+構造面材・格子壁・落し込板などを用います。

筋交いと通し貫下地の土壁は変形の特性が違うので
混在は極力避け、土壁の破壊に近い構造面材を
貫下地にて壁量を確保するのが望ましい。

構造設計費用10万円~

 

【許容応力度設計法】

鉛直荷重、水平荷重に対して構造物の応力を求め、
これにより生じる各部材の応力度が、
その部材の許容応力度以下になるように設計する方法。

耐力壁・水平構面など詳細な比較検討が出来、
「壁量計算」に比べ設計の幅が広がります。

構造設計費用30万円~かつ、
確認手続きにおいて追加費用がかかる場合があります


【限界耐力計算法】

地震の振動が建物に与える影響を検討し安全性を確保する設計。

土壁・通し貫・指鴨居・込み栓など耐力要素を拾い出し計算します。

耐力要素の平面配置のバランスは計算に考慮されないが、
各通りごとに計算をして安全限界を超えないことを確認するか、
土壁・通し貫など耐力を負担する要素をバランス良く配置し対処する。

また、差物や垂壁がとりつく柱は地震時の
応力により割劣が起きないか検討が必要。

石場建ての設計が可能。

「壁量計算」「許容応力度設計法」よりも
開放的な間取りが可能です。

詳細は「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」を参照下さい。

構造設計費用50万円~かつ、
確認手続きにおいて適合判定の費用かかります。

建築学会より限界耐力計算法の指針・解説が出版されています。


【伝統的構法の設計法】

簡易な標準設計法・限界耐力の詳細設計法・
時刻歴解析の汎用設計法が整備されます。

標準設計法は適合判定が不要、
申請手続きがスムーズになります。

現在国土交通省にて詳細を検討中。

 

【確認申請の現状】

平成22年5月記載

・壁量計算による申請は特に問題なく確認がとれます。
・限界耐力計算での確認申請は最短で一月程度のようです。

関西版のマニュアルにて受付するようです。

ただし、

行政(県)によっては限界耐力計算に対応していない
場合もあるので事前の確認が必要です。

平成21年9月記載

・壁量計算による申請は特に問題なく確認がとれます。

・限界耐力計算の適合判定を幾つかの
審査機関が受けているようですが、
物件数は多くないと聞きます。

また、限界耐力計算法による設計でも
木造2階建てかつ延べ面積が500平米
以下の建物は4号特例による図書省略にて
申請を受け付ける審査機関があるそうです。

平成20年7月記載
・壁量計算による申請は特に問題なく確認がとれます。

・限界耐力計算法を用いた設計の場合
確認申請の手続きは構造審査にて
適合判定の対象となります。

昨年の改正から今まで3件確認が通ったと話を聞いています。

受け付ける審査機関が少なく限界耐力計算法
による確認は機能していない状況です。


【伝統的構法の設計法の現状】

簡易な標準設計法・限界耐力の詳細設計法・
時刻歴解析の汎用設計法が整備されます。

標準設計法は適合判定が不要、
申請手続きがスムーズになります。

現在国土交通省にて詳細を検討中。

 

【確認申請の現状】

平成26年7月記載

「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会
平成24年度事業報告書設計法案をWEBにて公開

平成26年6月記載

第186回国会閣法第62号 附帯決議
建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
基準策定に向けた検討を行うことと記載

平成26年4月記載

検討委員会から提示された設計法について国土交通省にて検討中。

平成24年12月記載

一般の住宅で使う標準設計法は壁や柱脚の仕様が
決められそれを組み合わせる設計になります。

より自由度の高い標準設計法・汎用設計法(時刻歴解析)が用意されます。

平成22年5月記載

平成22年度より2カ年計画にて伝統的構法設計法
検討の新委員会が立ち上がりました。

新たな委員会では石場立ての設計法確立を目指します。

22年度に実大の石場立て振動実験を行う予定です。

平成21年9月記載

平成20年度より伝統的構法の設計法を纏める事業が始まっています。
これは伝統構法をふまえて新しい設計方法を作成する事業です。

一時石場立ても可能な設計ができる話もありましたが、
現状では石場立ての設計は対応しないようです。

今までの建築基準法の考えを元にして設計法を纏め、
受け継がれてきた伝統構法は途絶える恐れがあります。


【確認申請の現状】

「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」
木造住宅私家版仕様書 コンプリート版 完全版 架構編+仕上げ編
棟梁に学ぶ家 図解 木造伝統工法基本と実践