伝統構法は在来工法と特性が異なるので
耐震補強は特別な配慮が必要です。
ここでは伝統構法独特の耐震補強について書いてみます。
どれだけ補強をしても元々痛んだ箇所があっては持ちません。
補強の前に建物全体の調査を行い、修復計画を立て補強します。
伝統構法の構造は木組み・通し貫で繋がった物です。
弱い所だけを補強すると全体のバランスが崩れます。
建物全体を見て補強のバランスを加減します。
建物全体の構造を確認したら、弱い場所に壁を増やしてバランスを改善させます。
壁は通し貫土壁または木組み格子壁
工事費を抑える場合木摺り漆喰壁(土壁)
簡易的な方法で構造面材を使う方法もあります。
壁を増やしたくとも見た目や都合上壁ができない場合
差し鴨居や柱を増やしたり、ある柱を補強して改善させる方法があります。
調査結果により大きな変形の恐れがある場合
制振装置をつかい変形を抑える対策をします。
調査結果をもとに限界耐力計算から制振装置を検討し対策をします。
伝統構法は曲げ系の構造体です。
筋交いの補強を用いると柱の曲げを抑えてしまい
余計な応力を発生させます。
結果柱が折れる破壊で倒壊に至ります。
倒壊に至らなくとも柱頭・柱脚を破壊し
解体しなければ補修できません。
仕口など接合部への金物補強も被災時に柱・梁の破壊を招きます。
弱い接合部だった場合、木組みにより粘りを持たせる補強を行います。
仕口が痛んでいるときは部材の補修を行い組み直します。
どうしても金物補強を行う場合は耐力の小さいものを使います。
石場建ての場合基礎補強などせず、アンカーボルトも使いません。
石場建てが免震要素ですのでその効力を活用します。
柱が沢山痛んでいる場合、柱を補修し同じく石場建てとします。
2019/06/12更新